パンズラビリンスを観てきた

以下、ネタバレを含む。

あらすじ

スペイン内戦で父親を亡くした少女オフェリアは、妊娠中の母親と共に母親の再婚相手であるヴィダル大尉に引き取られて森の中にある軍の砦に住む事になる。ヴィダルは独裁政権軍でレジスタンス掃討を指揮する冷酷で残忍な男だ。彼はもうすぐ生まれる自分の息子だけを欲しがり、オフェリアの事は疎ましく思っていた。
この悲しい現実から逃れるかのように、オフェリアは妖精やおとぎ話の世界に引き込まれていくのだった。ある夜のこと、彼女の前に「妖精」が現れ、森の迷宮に導いていった。するとそこには迷宮の番人パンが待っていた。そして彼女を一目見るなり「あなたこそは地底の王国の姫君だ」と言うのであった。
むかしむかし、地底の世界に病気も苦しみもない王国がありました。その国には美しい王女様がおりました。王女様はそよ風と日の光、そして青い空をいつも夢見ていました。ある日、王女様はお城をこっそり抜け出して人間の世界へ行きました。ところが明るい太陽の光を浴びたとたん、彼女は自分が誰なのか、どこから来たのかも忘れてしまったのです。地底の王国の王女様はその時から寒さや痛みや苦しみを感じるようになり…、とうとう彼女は死んでしまいました。姫を亡くした王様は悲しみましたが、いつか王女の魂が戻ってくる事を知っていました。そしてその日が来る事をいつまでも、いつまでも待っているのでした。
パンはこの迷宮が地底の王国の入り口である事、そして姫君である事を確かめるためには3つの試練を果たさなければいけない事を伝える。
こうしてオフェリアはパンに与えられた3つの試練に挑むのだった。…

パンズ・ラビリンス - Wikipediaより転載。

所感

こういった「ダークファンタジー」っていうカテゴリの映画って観た事はなかったんだけども、もし流行ってないんであれば今後もこういう作品がどんどん流入してくるようになればいいと思った。少し、日本では作りにくいんじゃないだろうか。観てない人には是非とも。
メッセージ性は強くないものの「おとぎ話の世界は、現実世界でのんびり暮してる奴が逃げ込む場所じゃぁなくって目の前のリアルと真摯に向き合った者だけが最後に訪れる事ができる桃源郷なんですよ」という昨今のブームであるニート諸氏には少々耳に痛い話なんじゃなかったか、と思う。

実際、登場人物には現実を直視出来ないでいる人が多く出てくる。

  • 父親の死を消化できないでいる、有能な軍人
  • 愛を乞いたいがために再婚相手の心根に目を背け、実の娘を慈しんであげられない母
  • ゲリラとして日々身の危険を晒すよりも、スパイとして生きる事を選んだ女性
  • 恐怖や威圧に飲み込まれる事無く、正しさとは何かという事に気づけているのに行動を起こせないでいる医師

それらの人はほとんどが、作中の表現を借りれば「人として生き、そしていつしか忘れ、人として死んで」しまう。
仮想社会は仮想社会として、しかし現実には現実として立ち向かう事の難しさ、っつうか飯食うのは現実社会でしか食えない訳であり仮想社会で食っても腹は満たされない。現実社会で飯を食うには銭が必要であってだな、という実はごくごく当たり前の話ではあるんだけども巧緻な仮想社会があちこちで構築されてる現代では、そんな当たり前のこともうやむやにされつつあるんだろう。てな事を感じた。

チラシの裏

登場人物、いや人物じゃないよな。
ともかく強烈な個性のキャラが多かった。

  • 農耕神・パン


調べてみたが、西洋のおとぎ話の挿絵に出てくる、下半身羊で角笛吹いているアレだと思う。
中の人は身長196センチのパントマイマーさんであり、そういわれてみれば仕草とかもどことなく説明的であった。

  • 怪人ペイルマン


本作中の「踊る!ヒット賞」を差し上げる。因みに中の人はパンと同じ。
ちょっと心が弱ってる人は確実に夢に出ます。コーラを飲んだら月賦を払わなくてはいけないぐらい確実に、夢に出ます。
こっちも調べてみたんだけど判ったのは「paleman」と綴り、あっちの鬼子母神(ただし女性ではなく老人)ぽい存在であるというくらい。ネット検索ごときでは素性を明らかにしないつわものである。
で、携帯ストラップまで作ったそうである。

しかしこれはやりすぎでは。