ライブドア騒動雑感

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経団連、ライブドアの処分検討 加盟取り消しも視野
「金のため」豪語の末、IT錬金術で墓穴…堀江容疑者
「伝統との衝突」 堀江社長逮捕、海外メディアも関心
米メディア、堀江容疑者逮捕を一斉報道

「堀江君はわが息子」と応援 自民・武部幹事長が釈明
先週末から、この話題についてのニュース量は夥しいまでに膨れあがり、枚挙に暇がない。負けたらケツの毛まで抜いていこうとする人々、勝ち馬を選び損ねてチクチクやられてる失言大臣の狼狽など傍目八目、不謹慎ながらそれこそ部外者にとってこれほど面白い話題はない、という事なんだろう。

個人的には【近鉄買収】騒動の一件から、同世代である男の様々な振る舞いを生温かく見つめてたワケで、そのスタンスは今も変わらない。自分と年齢が一つしか違わない人間が大物を相手に立ち回り、時になぎ倒し、時に渋面を作らせる様は痛快であったりあるいは切歯扼腕、自分の現状と照らしたりしてもみたり。

今回の逮捕劇が終わりの始まりなのか、それとも終幕なのかは知る由もない。真相は?と問われてもそこら辺は更に解らない。フジの社長がニヤケながら「逮捕まで早かったですねぇ、うぇっへっへっ」と会見してる様を見れば、あぁコヤツにサされたのかな、とも思うし。
米・メディアがこぞって持ち上げる様を見れば「ひょっとしたらアメリカに重大な情報をリークしてて、その辺りが側近の始末やら早すぎる逮捕劇を読み解く鍵ではないか」と穿った見方も出来る。
いずれにせよ多面体の断面よろしく、単一断層から全貌を推し測れるほど単純なものでは無いんだろう、とは思う。正三角錐ぐらいシンプルだったらそれはそれで問題なんだろうし。

昨日、某ゲームのML(メーリングリスト)でポロッと出た言葉なんですが『カリスマが法衣を着れば麻原になるんだろう。背広を着ると堀江なんだ』というもの。自分で言っといてなんなんですが、なかなか面白いなぁと思い今回ネタにした次第。

まぁ、宗教の仕組みを企業体の組織に転用したら最強なワケで、社長の声は天の声とばかりに上意下達は行き届き、社員は盲目的にベクトルを合わせて休日返上で実務に勤しむ。考えただけでゾッとするんですが、これに無償奉仕+お布施がついたら無敵なんでしょうな。

閑話休題、カリスマの話。

実際問題、資本主義ってのが爛熟した今の世の中、まともに起業したところで既製企業に太刀打ちすることはなかなかかなわない。資本主義=スタートラインの公平を謳った仕組みではないというのは周知の事実。
だからこそポッと出の坊ちゃん社長が強敵を次々に屠る様は民間ウケするんだろうし、メディアも格好のネタとばかりに食い付いた。結果、「愛称で呼ばれる容疑者」という前代未聞の事態が発生したワケだけども、その功罪はこの際置くとして。

業界における、カリスマが果たす役割というのは一体何なんだろう。

メーカー企業界隈に於けるカリスマ、というのは故・松下幸之助であったり、愛知の片田舎から世界の企業にまで成長したトヨタの立身出世物語だったり、流通業界で言えばダイエーの故・中内功氏の流通革命であったり引用はあまたある。
しかし「良くなったか?」というシンプルな問いかけに対して、素直に「なった」と答えてよいのかどうか迷う。
故・中内氏没後のダイエーの凋落ぶりは筆舌に尽くしがたいものがあるし、同じく『帝国』の称号を受けた堤義昭氏の西武帝国もなにをかいわんや。

『カリスマ運営は、新しい在り方の提議はするけどもそれをどう育むかは、界隈の仕事』なんだ、と思う。松下グループの隆盛がそれをさしている。

『新しい道*1』の提議もできず、あまつさえその末期に、付き従った純粋な『信者』の命を生贄に求める堀江氏は、カリスマでも何でもなかったんだと思う。
というよりも、業界を『カリスマ性』だけで掻き乱すのがカリスマならば、カリスマなんて窓からぶん投げろ、という話。ハサミ持たせて美容師させておく程度が丁度良いと思った。

*1:ビジネスモデル、と換言したほうがよいのかなぁ?