阿修羅城の瞳を観てきた、の記

何気に、新作を見に行くサイクルが上がってる気がする。といっても手当たり次第に観れるほど若くはないので、新作情報から絞ってはいるんだけども。しかしその分、掲示板のレスやら自サイトの死蔵コンテンツをデリったりとかの時間が取れない。本も読めんし。
以下ネタバレ。

阿修羅城の瞳

阿修羅城の瞳

元々、舞台で一度演じられた物を映画用に焼き直した作品らしい。言われてみればセリフ廻しやらカメラワークに舞台チックなそれを散見出来る。
や、舞台観た事の無いワシが言うなという話ですが。
良かった部分は出演キャスト、主役:市川染五郎の病葉出雲役はハマリ役なんでは無いかと。観てて男ながらに色気を感じる役者なんぞそうは居ない。歌舞伎役者で一流所を張るだけはある、ていうか今まで歌舞伎役者さんの実力ってものをなめてました。ごめんなさい。素直にそう言える仕上がり。
殺陣も上手い。ポっと出のチャラ系俳優が付け焼き刃で演じるものとはモノが違う。各所でピタリと止まる、そして受ける、斬る。この単純な動作が簡単に出来るモンでは無い、ってのは素人のワシでも分かるってモンでね。対比したくなくてもしてしまう終盤の宮沢りえ相手の殺陣シーンでその実力の程が明らかになっちゃうんですが、宮沢りえのあの細い肢体でそれを求めるには少々酷なのかも知らん。
刀の切っ先をピタリと止めるには相応の訓練と筋肉が必要。分からない人はその辺の木ぎれを持って、ブンと振って止めてみると宜しい。そう簡単には止まらんハズです。これが出来ないので、太刀筋が全部区切りが無く、日本舞踊みたく流れるような動きになっちゃうんですな。

それ以外で気になったのは、いかにも舞台チックにアレンジされたストーリー。
破天荒、と言えば聞こえは良いんだろうけども馴染めない人には徹底的に馴染めないと思った。美形剣客、黒い剣士、悪の美人尼僧…と、どうにもマンガチックな展開。いや、ワシは好きなんですがね。しかし『女は恋をすると鬼になる』っていう伏線は綺麗なんだと思う。